やきもち
「でねっ、その時のリナリーがね、本っ当に可愛かったんだよ」
「ハイハイ、そうっスね」
オレは何故巻き毛室長の妹自慢をこうも延々ともう2時間近くも聞かされなければならないのか。室長の部屋の片付けと雑務を手伝うのが何故オレなのか。それはきっと科学班の彼等流の気遣いと、この部屋に出来るだけ近づきたくないという気持ちの両方だろう。
「リナリーったら、ドレスも似合うんだよ。それはもう天から舞い降りてきた天使のようにね…」
「ハイハイ、よかったですね」
確かにリナリーは可愛いと思うのだが、何故室長にそれを聞かされなければならないのか疑問だ。適当にきのない相槌をはさみながら手だけを動かす。でも正直、余り嬉しくはなかった。自分の好きな人が他の人を褒めるのを喜んで聞けというのが無理な話だ。まあオレは、室長がリナリーにもっている愛情は(いきすぎた)母性のようなものだと理解はしているしそんなことで不機嫌になるのもどうかと思ったので多少の殺意とともに妹自慢を聞き流していた。本棚を向いていくつものファイルを番号どうりに戻す作業をしつつ、ふと気が付くとオレは本棚相手につぶやいていた。
「オレだけを見てくださいよ」
タイミング良く室長が黙ったものだから、思ったより大きなそのつぶやきはお互いの耳にはっきりと聞こえて、オレは一気に赤くなった。
「えっ?」
おどろいたような室長の声を聞いてあせって、オレはそのへんのファイルをかき集めあわてて室長に背を向ける。
「オ、オレ、コレ届けてきます」
部屋から出ようと、ほとんど走り出そうとした瞬間、腕をつかまれて引き寄せられ、抱きすくめられた。
「妬いて、くれた…?」
耳元で囁かれ、ゾクゾクしそうになる体をおさえる。
「や、やいてなんて…」
前に回された腕にギュッと力がこもって、背中が密着した。オレの、この頭にまで響きそうな心臓の音まで聞かれているような気になってさらに顔が熱くなる。
「リーバー君、顔真っ赤。可愛い」
オレはもう何も言う事が出来ない。できることならこのまま消えてしまいたいくらいに恥ずかしくて頭がどうにかなりそうだった。
「リーバー君にやきもち焼かせてみたかったんだ。ゴメンね」
わざとだったのかこのバカ室長。怒ろうと思ってやめた。怒れないくらいに好きだと気付いてしまったから
コムイのキャラ壊せるだけ壊しました(自分の中で)。
言わねぇよ、「舞い降りた天使のように」なんて。
俺、本当にコムイ好きなのか?(好きです