土沖(3Z)




この人と並んで歩くのは嫌いだ。すれ違う人の、土方さんに集まる視線が気になるから。並んで歩くと、土方さんが恰好いいのだと考えずにはいられなくなる。そんな事を口に出して言おうものならからかわれるだけなのは分かりきっているから俺は黙ったままだけれど。何気ない顔で流し目など送っている隣の男を見ると、なんだかやりきれない気持ちになる。


「お前、何か怒ってる?」

見透かされたような言葉にドキリとした学校の帰り道。正確には怒っているわけじゃない、ただのヤキモチ。土方さんは不審そうに俺の顔を覗き込んできた。

「別に、怒ってない」

否定するつもりだったのに何故か、スネたような口調になってしまい俺は内心焦る。どうしたら怒ってなんていないと伝えられるのか迷った末

「何でそんな事思うの?」

と墓穴を掘ってしまった。これじゃあ肯定してるのと同じだ。更に独りで焦っていると、余り興味なさそうな
「なんとなく」
という答えが返ってきて、俺はこっそりとため息をつく。
土方さんはそれ以上そこに触れるつもりはないらしかった。

―――くしゅん

少女漫画のようなくしゃみをしたオレを見て、土方さんがほんの少し笑った。

「…寒いな」

「うん」

身震いして空を見上げるオレの目の前を、何かが掠めた気がした。それが何か確認する前に土方さんが 雪 と呟いた。灰色の空から、粉雪が次から次へと舞い落ちてくる。2人して思わず立ち止まり天を見上げた。

「さむ…」

無意識に呟いた俺の手を、横から温かい手が包み込んだ。おどろいて横を見ると、俺の手を握ったまま両手を自分のポケットにつっこみニッと笑う。普段なら絶対にしない行為にオレの心臓が高鳴った。

「……人に見られてもいいんですかィ?」

「いいんじゃねえの」

再び歩き出すと、俺たちのつないだ手は注目の的となったが一向に気にならない。握り返してくるてがあることがこんなにも嬉しいなんて





05'1120


なんかキャラちがくね?